トーヤの創作メモ

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「前前前世」RADWIMPSが劣化?

RADWIMPS。もはや詳しい説明は不要だろう。

君の名は。」の大ヒットにより、中学生御用達ロキノンバンドから紅白出場を果たすまでにのし上がった国民的グループだ。

君の名は。(通常盤)

君の名は。(通常盤)

 

 

最近のRADWIMPSがおかしい

 本題に入る。最近のRADWIMPSの方向性、間違いなく変わってきてないか?

かつてのRADWIMPSの最大の「武器」は、野田洋次郎の紡ぐ暴力的なまでに繊細な歌詞と、センスに溢れたメロディだった。テクニックも一流ではあるが、ロキノンバンドにおいて演奏テクニックだけを重視される機会は少ないからだ。
しかし、彼らの作る曲は以前と比べ明らかに変質している。

こちらはRADWIMPS最大の怪作と称される「五月の蝿」。

五月の蝿(RADWIMPS)
哀しみや憂いの影の一つも宿さず
かわいいと謂れ慣れて醜く腐ったその表情
もうフォークを突き立てたいよ
あぁ死体 死体になった君を見たい
己が醜さ恥じて髑髏を垂れ
名前より先にごめんなさいを口癖に
今日まで 手合わせ生きてきたのに
バカみたい

そしてこちら、「君の名は。」直後のアルバム「人間開花」に収録された「トアルハルノヒ」。

トアルハルノヒ(RADWIMPS)
どこか自分の時間だけ
同じ場所でただただ円を
描いては止まってる気がしてた
それが今じゃ21のハル
昔の手紙の返事を
その胸に抱えてきてくれた
ロックバンドなんてもんを やっていてよかった
間違ってなんかいない
そんなふうに今は思えるよ

 

誰だよ。

丸くなるにもほどがある。まふまふが伊東歌詞太郎になったくらいの変化だ(分からない人すみません)

当然ファンはこの変化に気づいており、戸惑いながらも受け入れる者、見切りを付けて去る者、さらに熱狂していく者など様々なスタンスがみられる。

参考:前前前世は全然RADWIMPSっぽくない - BASEMENT-TIMES

この変化は前前前世だけの一過性のものだけだと思っていたが、どうやら違うらしい。「人間開花」まるごと「普通」の曲だった。いつもの、一部からは気持ち悪いっていわれるくらいとがったRADWIMPSはどこへ行ったんだ?

今回は変化の理由と、RADWIMPSのこの後についていくつか考えてみた。

 

 

君の名は。の大ヒット

君の名は。

君の名は。」の大ヒットによって、RADWIMPSはその知名度を不動のものとした。紅白出場、ドラマ主演、TVドキュメンタリー放映。RADWIMPSの活動は「君の名は以前」「君の名は以後」と区切ってもいいくらいだ。

世の中にRADを知らない人がこれほどいたのかと驚くほどの大ブームは、莫大な利益を生んだろう。それにより、訴求すべきターゲットが移ったのではないだろうか。サブカルチャーからメインカルチャー――例えるならば『B層』――へと。

かつてのRADWIMPSが作ってきた繊細な歌詞は、ミーハー層には刺さりにくい。だからこそRADWIMPSは過去を捨て、シンプルな世界観へと活動を移したのかもしれない。

 

 

バンド自体の変化

RADWIMPS2~発展途上~

思春期の頃、大人げない悩みを代弁してくれるミュージシャンや作家だけが味方だった。
でも彼らは社会に認められるにつれ、その手の悩みを解決済の問題として語るようになっていった。
頼むから誰か一人くらい大人げないことを言い続けてくれ、と思ったものだ。あなたの口から説教などききたくない、と。
三秋 縋 (@everb1ue) on Twitter

驚くなかれ、あの「有心論」でさえ10年前の曲。高校生から20代後半までの10年。人を変えるには十分な時間だ。じっさい、椎名林檎尾崎豊など、歌詞が変質していったアーティストを上げればきりがない。

 

また、最近RADWIMPSに起こった大きな変化といえば、Dr.山口の無期限休養である。

 ドラムの山口智史が、持病の悪化により活動を控え、休養に入ることになりました。自分の思うようにドラムを叩けなくなったことが原因です。

 2009年のイルトコロニーTOURのライブ中、バスドラムを鳴らす右足が、本人の意思とは異なり、動かせなくなる瞬間がありました。のちに判明しますが、これはフォーカル・ジストニアと呼ばれる神経性の症状で、鍛錬を要する職業の方が稀に発症するものです。(略)

 それでも山口は、心身ともに限界を迎えており脱退を希望しましたが、よく話し合った結果無期限の休養として籍を残すこととなりました。

RADWIMPS.jp - RADWIMPSからの大事なお知らせ|RADWIMPS한테서 중요한 공지|來自RADWIMPS的重要通知

10年間ともに研鑽を重ねてきた山口が無期限休養し、3人で迎えた大ヒット。洋次郎達はどんな気持ちでそれを迎えたのだろう。

 やはり、バンドそのものの変化が曲に影響を与えていると考える。

 

 

RADWIMPSは「劣化」ではなく「進化」?

人間開花(通常盤)

これまでRADWIMPSの変化要因を考えてきたが、やはり受け手の変化も大きいと思う。

 

学生時代、悲しみに打ちひしがれる時は五月の蝿を聴いて、恋が実ったときにはふたりごとを聴いて、億万笑者を聴きながら努力を重ね、受験前夜には会心の一撃をぶっぱなした。ラリルレ論を夏休みに読破して、馬鹿正直に感銘を受けた。

あのころはいつも、RADWIMPSがそばにあった。

 

正直、「昔のRADWIMPS」への未練はまだある。若い頃に見たものはついつい美化されがちだからだ。

だが、考えてみれば彼らは消えてしまった訳ではない。形を変えて、今なおファンを魅了し続けている。10年間の年月で変質したのは、RADだけではないのだ。

 

劣化した、と一言で括るのは簡単だ。

だが自分は、シンプルになったRADWIMPSの世界観を、「劣化」ではなく「進化」と捉えていきたい。

彼らの変質を感じ取ったということ。それは、自分自身が持つ感性が「進化」した証拠でもあるんだから。

 

 

ラリルレ論

ラリルレ論